Deepな狩浜散策シリーズその4・防風林

  • 新着情報
  • 段々畑ガイド
  • お知らせ

山、里に続き今回ご紹介するのは、大切な役割を担っているんだけれども、地味で隠れた存在でもある、風をよけるためのもの、防風林です。ぼうふうりん・・・ほとんど気にもとめていない人が大半だと思います。そう言う私もガイドをする前は気にも留めたことがありませんでした!

しかし!・・・いま畑にある変哲もない防風林ですが、実はいろいろと物語があり、いろんな事実があることがわかりました。さらに段々畑との親密な関わりもわかってきました。

ということで、今回は狩浜のdeepな防風林を調査せよ!のミッションで皆さまとご一緒に狩浜を歩いてみたいと思います。

まず、いろいろなタイプ(木の種類など)の防風林があちこちにあるので、歩きながら紹介します。狩江地域づくり活動センターをスタートし、R378をしばらく高山方面に歩くこと約10分くらい(車で約5分)、左手におだやかな宇和海、はるか遠くには日振島や九州が一望できるとってもスケールの大きい景観を目にすることができます。その途中には菜の花が山一面に咲いている場所もあります(現在3月下旬)。

こちらは車で行くことができます。途中R378には車を置けるような空き地がありますので、そこに駐車できます(数台ですが)。菜の花が段々畑一面に咲いているベストな写真スポットです。(写真は3月中旬)

その小さな入り江のひとつなのですが、こんな風景を見ることができます。手前に菜の花、斜面の下の方では防風林に囲まれた段々畑、海には養殖用のいかだ。よく見ると、所有者の方のセンスっていうか、遊び心っていうか楽しい形の防風林を見ることができます。まるで迷路のようですね。

同じ段々畑ですが、雪と菜の花の景色を撮った写真です。雪が積もるとこうなります。

さらに隣の入り江ではこんな防風林(あるいは自生したものが自然の防風林になっている)があります。ダンチク群落と言われる大型のイネ科多年草です。海のすぐ近くにずらっと生えている植物です。海からの風をこれで抑えることができます!

こちらはレッドロビン、杉、イヌマキの種類が確認できます。ほかにサンゴジュという種類の木も防風林に利用されています。どれも生長が早く、病虫害に強く、常緑樹なので年間を通して防風林に適しています。

レッドロビンでしょうか?少し赤みがかっています。このように南に海を臨む狩浜地区は、台風が西側を通るとその風の影響を受けやすく、大切なミカンが風にゆれて擦れ、傷がつくことになります。それを防ぐ目的で防風林が植えられました。もちろん北風もしかりです。

では更に、段畑に目を移してみましょう。再び狩江地域づくり活動センターに戻り、本浦地区の集落を通り過ぎて、農道を上がっていく途中のコースです。白色の矢印がイヌマキ、赤色矢印がレッドロビンの防風林が見えてきました。実は昭和30年頃までは、防風林はあまりなかったようです。それまでは、イモ、麦の栽培が多く、防風林は必要なかったのです。ミカン栽培に切り替わって、風でミカンに傷が付くのを避けるため、防風林が植えられました。

さらに進むと大きな杉の木があります。防風林なのか、もともと杉林なのかはわかりませんが、当地では杉の防風林も良く見かけられました。ただ生長が早く、日が当たらなかったり、根が石垣に損傷をあたえるなどの理由から、最近ではあまり見かけられません。

防風林は1.2m~3m程度の高さで調整されます。あまり高いと日光が届かなくなるからです。また防風林と石垣が接近しすぎると、その根の張り具合で石垣に損傷を及ぼすことも指摘されています。なかなか難しいんですね・・・。

最後に、集落に色どりを添える影の立役者の生け垣を紹介します。写真の生け垣左側には深さ3mほどの川が通っていて、通行するときは昼も夜もかなり危険!でも、ガードレールの役目も果たしているこの生け垣は、台風の風から家を守ることは難しいかもしれませんが、地域の住民の安全を守っているんです。

このように地域に目立たない存在の防風林や生け垣ですが、いろんな役割を持ってそこに静かに風景に溶け込んでいます。こんな名脇役がほかにもいっぱいあると思います。散策の際にはぜひ探してみてくださいね。わたしも見つけに行きます。